一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「ちょ、海音さん、近いって。私はゆっくり一人で作品を見たいの!」

「しっ!静かにして。騒いだらお客様が何事かと思うだろ?」

お得意様が多数訪れる可能性の高い場所で、こうして密着している会社の先輩後輩のこの態度こそが

゛何事か゛

と人は思うに違いない、っと萌音は突っ込まずにはいられなかった。

「ほら、萌音、このインテリアのデザイン、森田夫妻のテーブル作りの参考にならないか?」

話をそらした海音にムッとしながらも、目線を横に向けると、言われた通り素晴らしいアンティーク調のテーブルが鎮座していた。

「わあ、本当に素敵だ。ここの角にアレンジをいれて・・・」

家具に夢中になった萌音は、もう、海音の腕が自分の腰にまわされていることには意識が向いてはいない。

周囲の人間には、若い建築家カップルが意見を交わし合う仲睦まじい様子としか映ってはいないだろう。

興奮ぎみに意見を述べる萌音の頭を撫でたり、肩や腰を抱き寄せたり。

萌音への想いを解禁させた海音の行動は、どこまでも自由で、ぬかりないものであった。
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