一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「もしかして、だから゛あ・まね゛?」

「笑っちゃうだろ?本当は俺のお袋、マネって名付けたかったらしいんだけど、さすがに日本では無理だろって親父に反対されて゛海音゛。山と海ってなんだよって子供の頃は思ってたけどな、今は結構気に入ってる」

エドゥーアール・マネで゛あまね゛

佐和゛山゛海゛音

「自然に溢れた素敵な名前ですよ。それにとっても大胆なお母様ですね」

小声で笑いながら話す萌音に海音も微笑む。

「ところでさ、モネはマネに多大な影響を受けてたのは知ってる?二人は自宅を行き来するくらい仲良しだったんだ」

「そうでしたね」

「俺達もそうなるかな?名前すらも運命を感じない?」

気障な言葉を軽快に紡ぐ海音に笑いが込み上げる。

「だといいですね」

「言質とったよ」

それから二人は、微笑みながらルノアールやドガ、ミレーの絵を見てまわった。

モネとマネの話から、萌音は益々海音に親近感を感じた。

建築の話はともかく、絵画の話をこのように深く掘り下げて話せる相手は母以外にいなかった。

同じものを同じような感性で見ることができる。

一緒にいても苦痛を感じない。

そんな貴重な存在がこの先現れるのだろうか?

萌音は完全に海音のことを一人の男として意識し始めていた。
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