一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「二つとも美味しそう」

「そうだね。じゃあ、二人でシェアしようか」

お皿に取り分けてくれる海音を見てキュンとする。

男社会の中で常に気を張り、対等を目指してきた萌音を女性扱いする男子はいなかった。

何より萌音自身がツンツンモードを炸裂させていた上に、長嶺教授のガード付きだ。

目の前に差し出されたお皿を見ながら

゛ お姫様扱いされるのも悪くない゛

と、今日は海音に素直に甘えてみることにした。

素直に取り分けたお皿を受けとる萌音を見て、海音も優しく微笑む。

『ねえ、隣の二人、兄妹かな?私もあんな格好いいお兄ちゃんに優しくされたい」

「ええっ?めっちゃ美形だけど、顔はあんまり似てないよ。親戚じゃない』

不躾なこそこそ(にはなってないが)話が聞こえてきて膨らんでいた心が萎(しぼ)んでいく。

駅でナンパされたときもそうだったが、私服では萌音と海音は兄妹にしか見えないのだ。

そんな萌音の気持ちを察したのか

「ほら、萌音、口を開けて」

と海音が目の前にフォークに巻いたパスタを差し出して来た。

『うわ、やることが王子・・・!やっぱカップルじゃない?』

『いやいや、妹だからこその態度とも言える』

そんな会話が聞こえてきては、反抗したり訂正したりするのも難しく、萌音は素直に口を開けてパスタを口に含んだ。

「美味しい・・・」

「俺は萌音のその色っぽい口元を食べちゃいたいよ」

海音の言葉に萌音は真っ赤になる。

実際は口にいれたパスタにムセそうになっただけだが、周りからはそう見えず照れていると思われたのだろう。

『やっぱ彼女だよ。諦めな』

と隣の女性組二人の声が聞こえてきて、萌音は口をモグモグさせながら海音を睨んだ。
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