一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「あなたが妹なら海音くんだって本気ではないわよね?私、本気で彼のこと落とそうと思ってるの。邪魔しないで」

真っ赤なルージュを塗り直す佐和田は、不敵な笑いで萌音を見つめた。

萌音は、ジッと佐和田を見つめ返す。

佐和田の賢そうな顔は、まさに理系女といった感じだ。

「な、何よ。そんなに睨んだって、私は譲らないんだから」

慌てる様子はなかなか可愛らしい。

「どうぞ、ご自由に。頑張って下さい」

「何よ、バカにしているの?それとも余裕ってわけ?」

「いえ、私は自分の運命の片割れを探しているだけで・・・。彼がそうと決まったわけではありませから今はまだ検証段階です」

「なに物件探しみたいなこと言ってるのよ。恋ってもっと直感的なものでしょ?この人ってビビビとくるっていうか・・・」

佐和田の言葉に、萌音はジリリと彼女に歩み寄った。

「本当に?打算はひとつもありませんか?高校生の頃のイケてない彼でも好きになりましたか?」

「そ、そりゃあ・・・同窓会でカッコ良くなった彼に一目惚れしたのは間違いないけど・・・とにかく!仕事のできる男って感じで惹かれたの。悪い?」

開き直る佐和田に、萌音はゆっくりと頷いた。

「いいえ。最終的に選ぶのは海音さんですから私に文句なんてありません」

「ちょ、ちょっと、なんなのよ貴方。好きだからデートしてるんじゃないの?」

「質問に答える義務はないかと。お先に失礼します」

何かを言い続けている佐和田を無視して、萌音はトイレから出た。

そこにはあり得ないほど不機嫌な顔をした海音が待ち構えていた。
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