一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「海音さん、服のサイズはLLでいいよね」

萌音は、ディスカウントショップの紳士物売り場でスウェットの上下とTシャツ、ボクサーパンツ、靴下を買った。

歯ブラシやシェービングローション、使い捨てのシェーバー等は父親が泊まりに来たときのために置いていったものがあるから問題はないと思う。

続いて萌音は、食料品売り場に向かうことにした。

゛タマネギが好きと言っていたな゛

と、萌音は昼間のやり取りを思い出して笑った。

こうして父親以外の男性のことを考えて何かをするのは初めてだ。

ウキウキする気持ちはなんだか心地よい。

強引だけど優しくて、危ない場面では庇ってくれて。

なんだか王子様のようだと、萌音は柄にもないことを考えながらレジに並んでいた。

マンションに戻ると、海音はソファにもたれかかって萌音が手渡していた、何冊かの本を見ていた。

いずれも建築関係、美術関係の本だ。

「あっ、お帰り、萌音。重かっただろう?」

痛々しいのに萌音を気遣う海音の優しさに、萌音のハートはキュンキュンと音を立てる。

゛私って実は、弱っている男性の姿に萌えるのかも゛

萌音は、意外な自分の性癖に内心ドキドキしながらも、極力気にしないように心がけて海音に近づいていった。
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