一途な溺愛王子様
プリンセスの憂鬱
今日一日を締めくくるHRが終わりを迎えたと同時に、廊下側の席で窓の外を見やっていたクラスメイトの男子がニヤリとほくそ笑みながらあたしに向かって叫んだ。


「ひめー来たぞ！」

「げっ！」


その言葉を聞いて慌てて席を立ったが、その衝動で椅子をひっくり返ってしまった。

だけどそれを直す時間すら惜しいあたしは、振り返りもせずに慌てて入り口ではなく窓へ走った。


「それじゃみんな、お先に！」


あたしはそう言った後、窓の桟に足をかけた。するとそばにいる別のクラスメイトの驚いた表情が目の端に止まった。すると彼女はあたしに向かってこう言った。


「ひめちゃん、そこ窓よ!?」


ええ、もちろんそれは知っていますとも。そう思いながら、あたしは窓の外を見た。

ここは一階にある教室。ここから飛び降りたところでもちろん怪我なんてするはずもない。それにここからなら一直線に校門へと向かえる。


ーー逃げきれる！


そう確信をした瞬間だった。誰かがあたしの肩をポンと叩いた。それは軽く肩を叩く程度のものなのに、背後から感じるオーラがあたしを逃がさないとでも言ってるような……。

一瞬で全身の毛がぞわりと毛羽立つような感覚を感じる中、背後に立つに人間はあたしにこう耳打ちをした。


「お迎えにあがりました、お姫様」



ーーそう、“今日”も捕まってしまった。


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