一途な溺愛王子様
「ひめちゃーん、なにその歌ー?」
遠くで雨宮が歌う歌を聞きつけた別の女子がそう言った。
すると雨宮は満面の笑みで、ほんのり頬を赤らめてこう返す。
「作詞作曲あたしの、あたしのテーマソングだよーん」
「あははっ、ひめちゃん歌手だねぇー」
女子同士で楽しそうな会話が、俺のところにまで聞こえてくる。
そんな中で、俺のクラスメイトの男子が、雨宮に向かって叫んだ。
「雨宮さーん! 今度一緒にカラオケいこー。そこでその歌聞かせてー」
すると雨宮は顔を上げた。
「バーカ、この歌がカラオケにあるわけないじゃん」
「なくてもいいから行こうよー」
「行きませーん」
そう言って振り返ろうとしたその時、一瞬俺と目があった。
空中で交わされた俺との視線。その見えない視線を伝って、ビリリッと電気が俺の中で駆け巡る。
その瞬間、俺の中で何かが芽生えた……ような気がした。
雨宮は一瞬俺の方を見たはずなのに、まるで睨むみたいな冷たい目をして、そのまま校庭を走って行く。
けど、その後ろ姿は昨日のあの光景と重なって見えた。
キラキラと夕日に輝くシルエット。
体操着を着ているはずなのに、その姿はまるでドレスを着たお姫様に見えた。
シンデレラが12時の鐘に合わせて舞踏会から逃げ出すかのように。
ーーこんな馬鹿げた光景と重なって見えたのも、こんなバカバカしい考えを思ったのも、全ては人生で初めてのことだった。
遠くで雨宮が歌う歌を聞きつけた別の女子がそう言った。
すると雨宮は満面の笑みで、ほんのり頬を赤らめてこう返す。
「作詞作曲あたしの、あたしのテーマソングだよーん」
「あははっ、ひめちゃん歌手だねぇー」
女子同士で楽しそうな会話が、俺のところにまで聞こえてくる。
そんな中で、俺のクラスメイトの男子が、雨宮に向かって叫んだ。
「雨宮さーん! 今度一緒にカラオケいこー。そこでその歌聞かせてー」
すると雨宮は顔を上げた。
「バーカ、この歌がカラオケにあるわけないじゃん」
「なくてもいいから行こうよー」
「行きませーん」
そう言って振り返ろうとしたその時、一瞬俺と目があった。
空中で交わされた俺との視線。その見えない視線を伝って、ビリリッと電気が俺の中で駆け巡る。
その瞬間、俺の中で何かが芽生えた……ような気がした。
雨宮は一瞬俺の方を見たはずなのに、まるで睨むみたいな冷たい目をして、そのまま校庭を走って行く。
けど、その後ろ姿は昨日のあの光景と重なって見えた。
キラキラと夕日に輝くシルエット。
体操着を着ているはずなのに、その姿はまるでドレスを着たお姫様に見えた。
シンデレラが12時の鐘に合わせて舞踏会から逃げ出すかのように。
ーーこんな馬鹿げた光景と重なって見えたのも、こんなバカバカしい考えを思ったのも、全ては人生で初めてのことだった。