一途な溺愛王子様
「かっ、カンナ、ちょっと歩くの早いってば!」


あたしはカンナの歩幅についていくのに必死で、なんなら小走りだ。すると、学校が見えてきた。ちょうど予鈴のチャイムが鳴っている。


「カンナ、聞いてーー」

「ひめこそどういうつもり?」


カンナはあたしの腕を乱暴に引っ張った後、あたしは門を背中にカンナに詰め寄られていた。


「どういうって?」

「ひめは俺のものなの? 違うの?」


その言い方にはカチンときた。あたしが嫌いな言い方だ。


「あたしはものじゃない」


挑むような視線に、挑むように返す。

カンナはあたしの背にある門に手をつきながら、ジワリジワリと歩み寄ってくる。だけどあたしも負けない。怯まない。


「じゃあ、言い方変えるけど」


根負けしたのはカンナの方だった。一瞬視線を泳がせた後、再びあたしを見据えてこう言った。


「ひめは俺のことが、好き?」


……それは。


今度はあたしが視線を逸らす番だった。だけど、カンナはずるい。逸らそうとしてもそうさせてくれない。

顔を覗き込むようにして、あたしの顎をクイっと持ち上げた。


「ちゃんと言わないと、お仕置きだよ」




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