一途な溺愛王子様
「はっ、人の気持ちは見えないからな。そもそも見えないものを信じてもらうのって、こんなに難しいと思ってなかった」


自嘲気味に笑いながら、カンナはまるで独り言のように言葉を紡いでる。

ううん、紡いでるんじゃなくて、吐き捨てるみたいに。


笑い声が止まった後、再び冷たい視線を投げつけながらこう言った。


「誰から聞いて、なんて言われたのか知らないけど、その話に全く身に覚えがないんだけど」


今更、否定するなんて遅いでしょ。確信突かれて焦ってるんでしょ。

今度はあたしがさめざめした視線を投げる番だった。そんなあたしを見て、カンナはくいっとあたしの顎を掴んで持ち上げた。


「ひめは俺の言葉より他の誰かの言葉を信じるんだ?」


そんなもの……。


「信じられる要素がないのに、どうやって信じろって言うのよ」


怒りに満ちた瞳が、一瞬揺らいだ気がした。

それに一瞬でも魅入ってしまったせいで、あたしには隙ができた。


カンナは人の隙を突くのが上手い。


気がつけば、あたしの唇は強引に奪われた後だった。


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