一途な溺愛王子様
その日から、カンナがあたしのクラスに来ることも、帰りを待ち伏せすることもなくなったーー。
平穏だと思っていたこの状況も、いざなってしまうと、それをどこか寂しいと思う自分がいる。
薬は毒ほど効かない、ってことわざを聞いたことがある。
良い事は悪い事ほど強い影響を及ぼさないらしい。
平穏を求めていたにも関わらず、それを寂しいと思うのは、完全に毒に飲まれてしまったせいに違いない。
あたしはカンナの事を考えないようにすればするほど、カンナがあたしの脳内を占める。
けれどそれも一時のことだった。
テスト勉強に、学校行事。それらをこなしながら忙しくしていると、気がつけば季節が移り変わろうとしていた。