転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
「そのあたりのことは、私はよくわからないんです。全部、皇妃様にお任せしているので」

 オストヴァルト帝国の皇宮は、政(まつりごと)の場である太陽宮、皇帝と皇妃、それからその子供が住む満月宮、特に大切な客人を宿泊させるための新月宮。そして、星の名を与えられた多数の建物から成立している。
 ヴィオラも以前はここ、クィアトール宮で生活していた。満月宮に生活の場を移してからも、こうしてさまざまな講義を受けるために週に三日通っている。

「……冬には噂になりましたのに」

 スティーシャが首を傾げた。

「噂は、噂……です」

 ヴィオラは首を横に振る。リヒャルトと婚約の話が出ているのは事実であるが、今のところ正式なものにしようというところまで進んではいない。

「ミナホ国のタケル様は? タケル様とも縁談があったような――それで、満月宮で一緒に住まわれているのでしょう?」

 顎に手をあてて考え込む表情になったのはリネットだ。

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