転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
「いえ、そんなことはありません。タケル様が満月宮にお住まいなのは、ヤエコ様は皇妃様の親友だからです。そのため、皇妃様はタケル様を特に気にかけていらっしゃるんです」

 ミナホ国とは、海の向こうにある国だ。
 海を挟んでいるためか、こちらの国とは言葉も風習も違う。ヤエコは、現ミナホ国の王姉であり、タケルはヤエコの息子だ。つまり、現国王の甥ということになる。

「……そうなんですの? それだけとは思えませんけれども」
「そんなことはありませんよ、スティーシャ様」

 スティーシャは、皇族の誰かに嫁ぐのを目標としているから、ヴィオラの婚約話が気になってしかたないようだ。
 クィアトール宮で生活している少女はあとふたりいるのだが、彼女達は室内にとどまっているものの、こちらの会話には加わってこない。
 講義が終わったあとはいつも、早々に部屋を出て行ってしまうか、今のように口を挟まずそっと室内にとどまるかのどちらかだ。ヴィオラとは少し距離を置くことを選択しているのだろう。
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