転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 ヴィオラがこの国で置かれている立場を考えれば、そうやって遠巻きにするのもわからなくはないので、ヴィオラも彼女達が望む距離から近づこうとは思っていない。

「私が皇妃様に可愛がっていただいているのは事実だけれど、イローウェン王国の出身だから、慎重になった方がいいと反対する声もあるみたいです。それで進まないのでしょう」

 もっとも、反対しているのは一部の貴族。以前、この国の皇帝自身から「認めてもよい」との言葉はもらっている。

「ヴィオラ様は、どうしたいの?」

 おっとりとしているリネットだが、こういう時にはぐいぐい来ることも多い。ヴィオラはあいまいに微笑んで首を横に振った。

(今と違う立場を望むのなら、私はそれにふさわしい人間にならないといけないもの)


「……それより、イチゴを使ったアイスクリームがあるのですって? 少し、分けていただける?」

 縁談も気になるけれど、甘いものも気になるようだ。身を乗り出したスティーシャに、ヴィオラはうんとうなずいて見せた。

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