転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 他の少女達に倣い、慌てて頭を下げたヴィオラの様子が、リヒャルトにはおかしく見えたようだった。小さく笑ったかと思ったら、ぽんと頭に手が載せられる。

「皆、よく学んでいるようだな。以前見た時より、格段に所作が洗練されている」
「ありがとうございます!」

 ヴィオラを筆頭に、少女達の声が揃う。皇太子殿下からお褒めの言葉を賜るなんて、この皇宮で暮らしていてもめったにあることではない。

「ヴィオラ、急いで戻ってくるようにと母上のご命令だ。友人との交流もあるだろうが、今は切り上げてほしい」
「わかりました」

 机の上に広げたままだった教科書やノート、筆記道具をきちんとまとめてカバンにしまう。リヒャルトが入口のところで待っているのを、少女達は憧れのまなざしで見ていた。

「ごめんなさい、私もう行かないと」
「いえ、またお会いしましょう。次の講義は明後日ですもの。その時に、お話を聞かせてくださいな」

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