転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ～婚約式はロマンスの始まりですか!?～

　スティーシャは、皇妃がヴィオラを呼び戻した理由に興味津々の様子だ。その瞳には好奇の色だけではなく、状況を正確に分析しようという意思も見える。
　こういったおしゃべりの中から、自分の国に伝えておいた方がいい情報を拾い上げるのもまた、この国で暮らしている少女達の役目だ。
　国際社会の中で、そうやって生き残りを図っていくのだ。大人になった時、自分がより輝ける生き方を選択するために。

「ええ。私はイチゴのアイスクリームを楽しみにしていますね。ヴィオラ様と一緒に学ぶ者の特権ですもの」
「ええ。リネット様。期待していてくださいな」

　リネットの期待値を上げすぎたかなと思いながら、ヴィオラは慌てて部屋の外に出る。ヴィオラが駆け寄るのを待って、リヒャルトは歩き始めた。
　教室の外で待機していたニイファが、ふたりから少し離れたところをついてくる。
　私的な場では、ヴィオラに対して姉のように接することもあるけれど、こういった場ではきちんと振る舞うこともわきまえている優秀な侍女だ。