転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ～婚約式はロマンスの始まりですか!?～

「皇妃様がお呼びって、なにがあったのでしょう？」
「おそらく、俺と君の婚約に関する話だと思う。母上は正式に進めるおつもりだ」

　その言葉に、ヴィオラの胸がずしりと重くなる。できれば、正式に決まることなく、このままヴィオラが成人する時まで時間を稼ぎたかった。

「……やっぱり、ご迷惑をおかけしてるんじゃ」
「ヴィオラは、またそんな風に言うんだな。俺も母上も迷惑だなんて思っていない。それに――父上も、ヴィオラなら歓迎するだろう」

　長い廊下を歩きながら、そんな会話をかわす。
　ここで暮らしている少女達は、王族や貴族などいずれも身分の高い者ばかり。廊下に敷かれている絨毯も上質のものだし、壁際に置かれている花台も、その上の花瓶も一流の職人の手になるものだ。
　花瓶にいけられている花も、広大な庭園や温室で育てられたもので、この国の豊かさを訪れる者たちに見せつけているのだ。
　教室を出る前、スティーシャやリネットとかわした会話を思い出す。