転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 口に出して読まなければ、ロイザリアの美しさはわからないというのが教師の言い分だった。
 せめて予習をと昨夜も頑張ったけれど、結局のところ理解はできていないだろう。

「暗記するのは少々大変だな。でも、ヴィオラならすぐに覚えられると思うぞ」
「リヒャルト様は、どうやって暗記しました?」
「何度も何度も、声に出して読み上げた。俺はそうするのが一番早かったな」

 あのややこしい詩を、声に出して何度も読み上げなければならないのか。
 ヴィオラはちょっぴりげんなりしたが、詩について話しているうちは、皇妃の話がなんなのかという不安から意識をそらすことができた。
 歩きながら、ちらりとリヒャルトの顔を見上げる。平均年齢よりだいぶ小柄なヴィオラと並ぶと、長身のリヒャルトの背がより高く見える。
 鍛え上げているが、余計な筋肉はついていない。たぶん、実践向きの筋肉とはこういうことを言うのだろう。
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