転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ～婚約式はロマンスの始まりですか!?～

　治療が終わるまで、どのくらいの時間がかかったのかヴィオラにもよくわからなかった。
　気がついた時には、セスはニイファがどこかから調達してきたらしい寝間着を着せられ、ベッドに横になっていた。

「ありがとう、先生。助かった」
「なに、タケル様の頼みですから当然のことです。では、自分は役目に戻りますので、急に熱が高くなるようならお呼びください」

　丁寧な物腰でタケルに頭を下げたのは、今まではタケルの侍従と聞いていた男性だった。
　たぶん、タケルの身体に合わせた薬の調合ができるとかそんな理由でここに残ることになったのだろう。

「……リヒャルト様。上着……汚してしまってごめんなさい。きちんと洗って返すから」

　手当の終わったセスは、ぐったりとベッドに身を沈めている。ヴィオラの言葉に、リヒャルトは首を横に振った。

「上着なんてどうでもいい。それより、セスの言っていた――」