転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ～婚約式はロマンスの始まりですか!?～

「いいって。この間は、俺達が迷惑をかけたろ？　そいつが過去になにをしたかは知らないし、俺の聞くべきことじゃないと思うから黙っとくけど」

　タケルは、今回の件についてはあくまでもそういった立場をとるつもりのようだった。

「俺にできることがあったら、なんでも言ってくれ。手を貸すくらいはする」
「――感謝する」
「じゃあ、俺は先生のところに行くよ。俺からもお礼をしておかないといけないしな！」

　リヒャルトの横をするりと通り抜け、タケルは出て行ってしまう。

（まるで、この国に来たばかりの時みたい）

　不意に、過去の思い出がよみがえってきた。
　この国に来たばかりの頃、ヴィオラの味方はニイファだけだった。そこにリヒャルトが加わり、セスが加わり――。

「差し出がましいようですが、リヒャルト様。セスには付き添いが必要です。少なくとも、今夜一晩は――どなたか、付き添うことのできる方は？」