転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
「口が堅い者、セスがここにいても騒がない者――となると、難しいな。まだそこまで腹を割れる側近はいない」

 セスがいなくなってから、リヒャルトの近くにいる者は減った。まだ、セスほど信頼できる人材は見つかっていない。
事情が事情だけに皇妃の侍女を借りるというわけにもいかない。

「もし、ヴィオラ様の許可がいただけるようでしたら、私が付き添いましょう。ヴィオラ様のお支度については、私の体調が悪いので、お休みをいただいているということにすれば、皇妃様の侍女が手を貸してくれるはずです」
「……だが、それではヴィオラが不便だろう。他の手を考える」
「いいえ、そうしましょう。リヒャルト様。秘密を守ることを考えたら、ニイファについてもらう方が安心です。私の支度はどうにでもなるから」

 夕食の着替えには手を借りる必要がある。晩餐会用のドレスの背中のボタンを留めるのと、髪を結うのは自分ではできないからだ。
 それ以外は、浴室の支度だけお願いすれば、どうにかできそうだ。

「あとで食事を持ってくるわね」
< 223 / 302 >

この作品をシェア

pagetop