転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
「わかりました。皇妃様の居間に伺います」

 満月宮には、冬の間皇妃が気に入っていて時間を過ごしていたサンルームの他、たくさんの部屋がある。皇妃の居間というのは、昼間過ごす部屋の中では一番私的なものだ。
 そこに招かれるというのは、ヴィオラを身内として認識していることの証である。
 そうでなければ、いくつかある客間――親しさの度合いによって通される部屋が変わる――に呼び出されただろう。

「リヒャルト様、私は先に行かせていただきます。ヴィオラ様は、焦らずにおいでください」
「うん。お願いね」

 ヴィオラが馬車を降りるのに手を貸してくれたニイファは、リヒャルトとヴィオラに頭を下げ、きびきびとした歩みで先に行く。
 リヒャルトに送り届けられたヴィオラが部屋に入った時には、すでにドレスはクローゼットから取り出されていた。
 ニイファが用意したのは、ふんわりとした黄色のドレスだ。幾重にも重ねられたスカートは、チューリップを逆さにしたようにも見える。
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