転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 リンデルトは、証拠を持ち出そうとしたセスを自分の手で成敗しようとしたらしい。
 セス自身、なぜリヒャルトに協力しようと思ったのかよくわかっていないみたいだけれど、やっぱり〝リヒャルト個人〟に対する忠義があるのではないかとヴィオラは推測している。
 そんな中、リヒャルトはほとんどセスのいる部屋を訪れようとはしなかった。事情が事情だし、証拠を届けてくれたのが事実とはいえ、顔を合わせたくないという思いもあるのだろう。
 リヒャルトがセスのところを訪れるのは、彼自身の証言を聞く必要がある時だけ。セスの治療はミナホ国の医師に、身の回りのことはニイファに任せきりだ。
 タケルはセスに興味があるようで、時々顔を出している。意外と気が合うようで、ヴィオラが訪れた時にはふたりで話が盛り上がっていることもあった。
 ヴィオラがセスの様子を見に行くのは――やはり、心配だからなのかもしれない。

(セスのやったことは、許されることじゃないけど……ああ、どうしたらいいのか難しいわ!)

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