転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ～婚約式はロマンスの始まりですか!?～
　聞いたところでなにができるというわけでもないし、それは十分理解しているつもりだったのだけれど。頼りにされていないようで、自分が情けなくなってくる。

（……と、そんなことを考えている場合じゃなかったね。リヒャルト様に、セスの様子を話しておかないと）

　長い廊下を通り抜け、リヒャルトの部屋の前に立つ。
　おそらく傷が治り次第、セスは出ていくことになるだろうけれど、経過はリヒャルトの耳にも入れておいた方がいい。
　今日は自室に仕事を持ち帰っていたリヒャルトは、ヴィオラが扉をたたくとすぐに中に入れてくれた。
　彼の部屋に置かれているソファに向かい合って腰をかけ、ヴィオラは手早く状況を説明する。

「――そうか。セスはもうそこまで元気になったか」
「はい。でも、身体を動かす訓練は必要になると思うんです。いきなり追い出すわけにもいかないだろうし」
「……そうだな。それについては考えておく」

　リヒャルトは厳しい表情をしている。
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