転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 新月宮の談話室では、父もリヒャルトの不意の訪問に驚いたようだった。だが、ヴィオラが一緒に来ているのを不思議に思っている雰囲気はない。

「今日は、なんのためにこちらに?」
「お二方に、少し話をしたいことがあるんです。ヴィオラのことで」

 リヒャルトは、まだ本題を切り出すつもりはないようだ。ザーラがふと思いついたように手を打ち合わせる。

「そうだわ、イローウェン王国から特産の茶葉が届きましたのよ。お話は、それをいただきながらということでいかがですか? ヴィオラ姫にも味見をしていただきたいんですの」
「そうですな。それがよいだろう」

 父の言葉に、ザーラは使用人にお茶の用意を命じる。

(……ザーラが私をもてなすなんて珍しいわ)

 イローウェン王国にいた頃、ザーラがこんな風にヴィオラをもてなすことはなかった。
 だが、リヒャルトが一緒だからという理由があるのだろう。ザーラからすれば、リヒャルトは目上の相手だ――少なくとも、今は。

< 270 / 302 >

この作品をシェア

pagetop