転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 イローウェン王国内でのヴィオラの扱いはとても軽かったということもあり、さほど仰々しい警備ではなかった。
 盗賊は、無差別に襲い掛かってきたと思っていたが、あの時襲ってきた連中は、王女の馬車だと知っていた節もある。
 襲撃の実行犯はまだ捕まっていない。
おそらく裏に、きちんと計画を立て、実行犯達を逃がすだけの能力を持った者がいるということだ。それがザーラではないかとヴィオラは疑っているけれど、証拠はない。
わざわざ殺すほどの重要人物でもなかったから、ザーラ以外心当たりがないのだ。

「……どうかしたのか」
「いえ、なんでもないです」

 リヒャルトは、不安そうなヴィオラの様子に目ざとく気づいたようだ。父との関係がうまくいっていないことは、リヒャルトも知っている。
 ヴィオラがあまり顔を合わせたくないと思っていることも、きっと彼は見抜いているだろう。

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