転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ～婚約式はロマンスの始まりですか!?～

「――皇妃様、差し出がましいようですが、私からよろしいでしょうか」

　ヴィオラの視線を受け、でしゃばることはしないニイファが珍しく口を開いた。

「できることならば、イローウェン王国風の衣装を仕立てていただければと思います。イローウェン国王はある意味単純な人間ですから、イローウェン王国を重視していると思わせることができるでしょう」
「……そうね、そういう考え方もあるかしら」

　ニイファの言葉に、皇妃も思うところがあったようだ。真剣な顔でデザイン画を見つめている。

「皇妃陛下のご厚意には、深く感謝しております。ですから――皇妃陛下のお言葉に、もうひとつだけ、甘えさせていただければと」

　立ち上がったニイファは、いつもとは違った様子だった。いつもならば親しみを込めて「皇妃様」と呼んでいるのに、あえて正式な呼び方を使っている。

「……あなたはなにを望むの？」
「ドレスは極力シンプルに――そして、できれば、皇妃陛下のおさがりをいただきたいと」