転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
宝石は貸せないが、当日花を贈る、祝いの宴に上等のワインを提供するなど、他の協力があるならば今のところ敵対するつもりはない――など、こちらとの関係を今後どうしていきたいのかがわかるのだそうだ。

「そうなんですね」

 イローウェン王国に帰りたいとは思っていない。
だが、父と継母の前で、ヴィオラがこの国できちんと自分の立場を築いているというのを見せるのは、大切なことかもしれなかった。

「イローウェン王夫妻はしばらく滞在すると言っていたものね。あなたが、この国できちんと大切にされていると見せておかないと」
「ありがとうございます、皇妃様」

 皇妃の方にちらりと目をやり、それからリヒャルトの方に目をやる。

(本当に、この人と婚約するのかしら)

 実のところ、まだ現実味を帯びていない。あくまでも、そういう噂を流すだけだと思っていたのに、気がつけば決定事項として走り始めている。
 この婚約がどんな方向に進んでいくのか、ヴィオラ自身にもよくわかっていなかった。
< 45 / 302 >

この作品をシェア

pagetop