死者の魂〜最期のメッセージ〜
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霧島藍(きりしまあい)は福山美里(ふくやまみさと)と話した翌日、東北に来てくれていた医大生の河野大河(こうのたいが)とともに神奈川にある法医学研究所へと帰った。

「藍さん、大丈夫ですか?」

電車に乗り、窓の外を見つめる藍に大河が話しかける。青磁を失い、その矢先に如月刑事から福山美里が怪しいと言われたのだ。福山美里に問い詰めたが、結局黒か白かはわからない。

「たぶん、大丈夫よ。お兄ちゃんを失った時に比べたら……」

福山美里は悲しみに暮れていた藍に優しくしてくれた。その優しさを思うと、犯人だと思いたくない。それでも、真実は曲げることができないのだ。

一つの決意を胸に、藍は電車に揺られた。



「ここに来るのが懐かしく感じるわ」

「藍さん、ずっと来ていませんでしたからね」

神奈川についてすぐ、藍は大河とともに法医学研究所へ向かった。解剖をし、死者の声を聞く職場が目の前にある。

「行きましょう」

「ええ」
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