死者の魂〜最期のメッセージ〜
「この花は?」

「かすみ草と言うんです」

女性が微笑み、花のことを話す。花屋には一年を通して出回る定番のものらしい。

「日本語での花言葉は、清らかな心や幸福などがあります。英語では、永遠の愛という花言葉です」

「永遠の愛……」

藍はその言葉を何度か繰り返し、かすみ草の花束を手にした。白く可愛らしい花は、藍の手の中で咲き誇っている。

青磁のことを、藍は忘れることなどできない。魂だけになってしまっても、大切な存在であることに変わりはないのだ。

藍は花屋を出て家へと向かう。花瓶に入れて大切にしよう、藍がそう思いながら歩いていると、「藍ちゃん?」と声をかけられた。

「えっ?」

その声に聞き覚えは当然ある。しかし、振り向きながら藍は疑問しか頭に浮かばなかった。

「どうして、美里さんが……」

東北にいるはずの福山美里が目の前で手を振っている。東北にいた時と同じ派手な服を着て、派手なメイクだ。
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