死者の魂〜最期のメッセージ〜
「な、なるほど〜……」

繁華街の一角にクラブSARAはあった。華やかな雰囲気に負けないお店だ。女性と楽しく話す店、と思うと如月刑事は入ることをためらった。

原刑事は、何のためらいもなくお店の中に入っていく。如月刑事も慌てて後に続いた。

「これは藍には言えないな……」

如月刑事の呟きは、すぐに賑やかさにかき消された。色とりどりの華やかな衣装を着た若い女性たちが、スーツを着たおじさんと呼ばれる世代の人たちの話に笑っている。お酒の注がれる音と話し声が如月刑事の耳に届く。

席に案内され、如月刑事は柔らかなソファに腰掛ける。隣に座る原刑事は余裕の笑みだ。

「如月さん、福山美里を呼びますか?」

「ああ」

原刑事が天音を指名し、お酒やおつまみを頼む。しばらくすると、「こんばんは〜!」と言いながら露出の高い服に身を包んだ福山美里が現れた。

「こんばんは」

原刑事は爽やかな笑顔を見せ、如月刑事はどうしたらいいのかわからずとりあえず頭を下げた。
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