死者の魂〜最期のメッセージ〜
法医学研究所を見つめ続ける藍に、大河が優しく声をかける。それが嬉しくて、藍は日常に少し戻れたのだと実感した。

緊張しながら藍は廊下を歩く。ずっと今まで歩いてきたこの廊下が、藍にとってとても長く思えた。

部屋に入ると、「藍!?」と監察医の木下朝子(きのしたあさこ)が驚く。田中聖(たなかひじり)と所長の春川正人(はるかわまさと)も部屋に入ってきた藍を見つめた。

「……お久しぶりです」

藍は何を話すべきかわからず、ニコリと微笑む。しかし、すぐに緊張に微笑みは飲み込まれていく。

「……」

うつむいた藍に、朝子たちの視線が突き刺さる。口を開いては閉じを繰り返す。

「霧島さん、大丈夫です。待ちますから」

藍の肩にふわりと大河が触れる。それだけで藍の心が少しずつ落ち着き、言いたいことが頭に浮かんでくる。

藍はゆっくりと横を見る。大河は優しく微笑み、何度も藍の肩をさする。温かい温もりは生者の証。人が安心できる特別なもの。
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