死者の魂〜最期のメッセージ〜
「そうなの?でも、それは私が殺人を犯した証拠にならないじゃない」

不敵に福山美里は笑う。部屋に入って来た朝子と聖が顔を見合わせ、前に進み出た。

「確かに、ファンデーションはメイクをする人なら持っているだろうし、これだけではあなたが犯人とは断定できない。でも、村松かけるさんの遺体を調べたらあるものが発見された」

聖がそう言い、小さな透明な袋に入れたあるものを取り出す。それは、村松かけるの口腔内から見つかった動物の毛だった。

「この毛が何の動物か調べたところ、ナキウサギという見た目はハムスターのようなウサギの仲間だとわかりました。ナキウサギは、北アメリカや東ヨーロッパの寒冷地域の一部、そしてアジアの天山山脈エリアに生息しています。しかし、その個体数は年々減少し世界的に珍しい生き物です」

朝子の説明に、「だから何?」と福山美里は冷たく言う。原刑事が紙を取り出した。

「美里さん。あなたは、村松さんが殺される数日前にアメリカに行っていましたね。渡航履歴なんて調べれば簡単にわかります」
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