たとえ君が・・・
今、過換気症候群の発作を起こしては危険だととっさに渉はその両手を包み込んだ。
「大丈夫。もう大丈夫だ。」
多香子の体を後ろから強く抱きしめてそう繰り返す。

「ごめん・・・」

「いいんだ。もう大丈夫。お前が無事ならそれでいい。」

「ごめん・・・」

「大丈夫。」


「渉・・・」

「ん?」

「ごめんね。」


「もう、謝らなくていい。ここに来て正解だったな。」
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