たとえ君が・・・
渉は多香子の体を起こして、背中側に自分の体を滑り込ませると後ろから多香子の体を支えて髪を乾かした。

そのドライヤーの熱の心地よさに多香子はそのまま眠ってしまった。

小さく寝息をたてながら眠る多香子をそっとベッドに運び、自分もそのまま横になる。
多香子の体を冷やさないように、肩まで布団をかけ抱き寄せる。

何があったのだろうか・・・

冷静になり様々な考えが膨らむ。


でも・・・

それ以上に自分の胸の中に多香子がいることが信じられない。

自分の部屋に多香子がいる。自分の服を着て、自分のベッドで眠っている。

心配と同じくらい、渉はこの時間が続けばいいと願っていた。
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