たとえ君が・・・
いつの間にか渉も眠ってしまっていた。
しかし、抱いている多香子の体がやけに熱いことに気が付きはっとして目を覚ます。

ぼやける視界を何度か瞬きしてはっきりさせると、あたりはうっすらと明るくなってきていた。

自分の胸にぴったりとくっつき眠っている多香子の顔をそっと覗き込むと頬が真っ赤で、明らかに熱があることが分かった。

頬に手を触れてみるとかなり熱い。

渉は多香子を起こさないように慎重に体を離そうとした。
「ん・・・」
多香子が無意識に、渉との間にできた隙間を埋めるようにすり寄ってくる。
「反則だろ・・・それ・・・」
渉は心の声を思わず漏れさせた。

それでも熱を下げないとならないと、渉は自分の気持ちをぐっとこらえて再び体を離そうとした。
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