たとえ君が・・・
「最近、ロボットの表情が変わったわよね。」
「私なんて笑ってるの見ちゃったわよ。」
「どんな心境の変化かしら。」
そんな会話がナースセンターでは持ちきりだった。

「瀬戸さん」
「はい。」
多香子を廊下の奥から渉が呼ぶ。
その髪はいつものように寝ぐせがついている。
渉に呼ばれて立ち止まった多香子に渉は話し出した。
「明日、特別な患者が外来で来る。ほかの患者やスタッフには目に触れないように配慮が必要なんだ。」
こういった特別なケースの患者も、渉の病院に来ることはある。
多香子は長年の感で何となくどんな患者なのかが分かった。
「患者は23歳の女性。警察の監視下で受診する。」
「・・・」
やっぱり。多香子は感が当たった。
「自分で堕胎を試みた患者で推定で現在妊娠30週らしい。」
「30週?」
「あぁ。」
「了解しました。」
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