たとえ君が・・・
「さすがに4人目の妊婦は早いな。」
「うん」
渉が分娩室の片づけを手伝いながら多香子に話しかける。
「結局、バタバタして、年越しの瞬間は見逃したな。」
「ね。」
救急搬送が2件に合わせて入院患者の分娩、妊婦検診に通っていた妊婦の出産と一気に4人の赤ちゃんが誕生して気づけば朝になっていた。

少ない人数で分娩を担当して目が回るような忙しさの中で、いつの間にか日付が変わっていた。

「多香子」
「ん?」
渉に呼ばれてカルテを整理していた多香子が振り向くと不意に渉が多香子にキスをした。
「今年もよろしく。」
「こちらこそ。」
少し照れる多香子に渉が微笑む。

朝陽が昇る瞬間。
渉と多香子は幸せを感じて迎えていた。
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