たとえ君が・・・
宿に着き、二人はチェックインを済ませると一度宿の外へ出た。
雪が舞っている中、足湯を見つけた二人はさっそく足をつけることにした。

「これ、巻いて。」
スカートだった多香子の腰に渉は自分のコートを脱いで巻く。
「いいよ。寒いでしょ?」
屋根がついているだけの足湯の場所に多香子が渉の手を止めようとすると渉の表情が厳しくなる。
「見えたら大変だろ?それに、ここあったかいし。」
渉は多香子の腰に強引にコートを巻いた。

正面にも観光客がいて、男性が多い。

「ありがとう」
こんな渉の表情も新鮮だと多香子は思った。

二人は足湯につかりながらぴったりと寄り添い話をした。

話題はもっぱら多香子の小さいころの話だった。
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