たとえ君が・・・
そう言って先に露天風呂へ向かう渉に、多香子は緊張して照れながらついていった。


「きれいだな」
「ねー。」
景色のいい部屋。
「急遽とった割にはかなりあたりだな。」
「うん。」
正月休みに実家へ帰るという多香子の話に、挨拶に行くことを提案した渉。その時に急遽予約をした宿だった。

雪が舞っているのがまたきれいだ。

渉はぐっと多香子の体を引き寄せて多香子の体を後ろから抱くような体勢にした。
二人、同じ方向から景色を見る。

「こんなにゆっくりするの、久しぶりだ。」
渉も、病院を継いでからまとまった休みをとるのははじめてだった。
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