たとえ君が・・・
多香子は自分の気持ちを封じ込めようと必死だった。
いつもは自分でコントロールしている気持ちも、時々制御不能になりそうなことがある。
大きく深呼吸をしてから多香子は通常業務に戻った。
「瀬戸さんは流産や死産をした患者の涙につられることってないんですか?」
一緒に夜勤をしている後輩の看護師から多香子は質問されていた。
二人で向き合って座りカルテの整理や経過観察の状況をデータ化している最中だった。
「ありません。」
多香子は表情をいつものように全く変えず、パソコンを見たまま返事をする。
「私はよく泣いてしまうんです。自分でも我慢しようと思うんですけど、難しくて・・・どうしたら泣かないんですか?その秘訣は?」
「・・・」
多香子は小さくため息をついてパソコンから後輩に視線を移した。
「ありません。秘訣は。私は・・・」
「私は?」
「私も昔はよく泣いていました。我慢できず、病院の屋上に逃げたこともあります。」
「そうなんですか?」
「はい。」
多香子はあまりにも真剣に悩む後輩に自分の話をせずにいられなかった。
いつもは自分でコントロールしている気持ちも、時々制御不能になりそうなことがある。
大きく深呼吸をしてから多香子は通常業務に戻った。
「瀬戸さんは流産や死産をした患者の涙につられることってないんですか?」
一緒に夜勤をしている後輩の看護師から多香子は質問されていた。
二人で向き合って座りカルテの整理や経過観察の状況をデータ化している最中だった。
「ありません。」
多香子は表情をいつものように全く変えず、パソコンを見たまま返事をする。
「私はよく泣いてしまうんです。自分でも我慢しようと思うんですけど、難しくて・・・どうしたら泣かないんですか?その秘訣は?」
「・・・」
多香子は小さくため息をついてパソコンから後輩に視線を移した。
「ありません。秘訣は。私は・・・」
「私は?」
「私も昔はよく泣いていました。我慢できず、病院の屋上に逃げたこともあります。」
「そうなんですか?」
「はい。」
多香子はあまりにも真剣に悩む後輩に自分の話をせずにいられなかった。