たとえ君が・・・
渉は多香子の体を抱きしめながら気になっていた腹部に触れる。
多香子は気づいてはいない。

最近、多香子の顔色の悪さが気になる。一緒にいれば産婦人科医として多香子のホルモンの状態や体の状態を把握できることも多い。そのうえで気になることがあった。

・・・・?

渉は一点で手を止めた。多香子に気づかれないように眉間にしわを寄せる。
これが気のせいならいいと、角度を変えて触れた。

「眠くなっちゃうね。」
多香子の言葉に慌てて渉は返事をする。
「あぁ。」
多香子は目を閉じて渉の体に自分の体を預けた。
触れたい場所に渉は触れることができた。

・・・・腹部にしこりがある。
この様子だと多香子は気づいていない様子だ。
< 215 / 306 >

この作品をシェア

pagetop