たとえ君が・・・
その瞬間、多香子とばっちり目が合った渉はさすがに冷や汗が出た。
「失礼しました。先生、よろしくお願いします。」
「・・・はい。」
美咲は再び腰までくねくねとさせて診察室を出た。

「・・・」「・・・」
多香子と渉は少しの間沈黙・・・。

「多香子。」
「・・・」
返事すらしない多香子。

最近の多香子の不機嫌は主に・・・やきもちだ。

特に美咲に対しての敵対心が大きい。仕事だからと割り切っているが、渉の前ではまっすぐな感情を表す。

「多香子。」
「名前で呼ばないでください。」
かなりとげのある声で多香子が返事をすると渉は立ち上がり多香子に近づいた。
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