たとえ君が・・・
「ラウンド行ってきます。」
「お願いします。」
夜勤は看護師5名と助産師2名が基本的に勤務している。多香子は大きなライトを持ち患者の入院している病棟を回り始めた。
病院は5階建てで2階と3階が入院患者がいる。2階は主に不妊治療や婦人科系の病気の患者が入院していて3階は妊娠中の患者や出産前後の患者が入院している。1階には外来の診察室や検査室、手術室、厨房やリネン室がある。4階は新生児室や集中治療室があり、5階は会議室などがある。
多香子はまず2階の婦人科系の入院患者のフロアから見回る。
子宮に疾患のある患者や手術後の患者もいる。多香子はその部屋ごとの患者の状態を把握していて、かなり丁寧に状態を確認する。
「中田さん、眠れませんか？」
「少し、痛くて・・・」
子宮内膜症の手術をしたばかりの患者が眠れていないことに気が付いた多香子は
「先生に相談して痛み止め処方してもらいますね。お待ちください。」
「・・・はい。」
「少し、体勢変えてみましょうか？」
「お願いします。背中が痛くて。」
「わかりました。
多香子はクッションを患者の体の下に敷く。
< 23 / 306 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop