たとえ君が・・・

手術をした箇所からいって右を下にして寝たほうが体に負担が少ないことを知っている多香子が体勢を変えると、患者は「楽になりました。かなり・・・。」と笑顔になった。
「なにかあれば遠慮せずナースコール押してくださいね。」
「ありがとうございます。」
「あとで痛み止めを持ってきますので、休んでいてください。」
多香子は患者の病室を出ると医療用の携帯電話でナースセンターにいる後輩に連絡をした。
医師に確認をして痛み止めを処方してもらうことを伝えると次の病室へ向かった。

渉も気にかけていた涌井という妊娠22週の患者が気になる。
早産の気配があり、入院しているが何となく気になり多香子は先に211号室の涌井の元へ向かった。
静かに病室に入りバイタルを確認する。
何となく気になる・・・。この胸騒ぎは何なのだろうか・・・。

多香子は念入りに危機のチェックをした。
涌井はぐっすりと眠っているように見える。
顔に直接ライトが当たらないように顔色を見る。
顔色にも変化はない。