たとえ君が・・・
渉は多香子の体を抱きしめる。
強く強く抱きしめる。

そうでもしないと多香子が消えてしまいそうなほどに儚く見えた。

「離れない。絶対に。一緒にいるって決めただろ?俺はありのままのそのままの多香子のすべてを愛してるんだ。離さないって決めたんだ。何があってもその気持ちは変わらない。」
渉の言葉にも強い覚悟がある。

「病気だったら俺が絶対に治す。離れない。一緒に闘う。」
「・・・」
「だからあきらめないでくれよ。」
「・・・」
「生きることも、一緒にいることも、未来も、全部。手放さないでつかんでてくれよ。」
渉の声はとても力強い。その言葉に覚悟を感じた。

多香子は渉の大きな体を強く抱きしめながらその覚悟を感じていた。

「いやだよ・・・。」
消えそうな声で多香子がつぶやく。
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