たとえ君が・・・
「渉。」
多香子がその名前を呼ぶと渉は多香子の方を見た。
「私は赤ちゃんをうみたい。」
「・・・」
渉は医者としての判断と、愛する人のパートナーとしての判断が分からなかった。

「考えさせてほしい。」
渉は結局朝陽にそう返事をして、検査結果をもらい自分の病院へ向かった。

多香子をアパートへ送り、一人病院で似ている症例を集める。
様々なケースを考えながら多香子の検査結果を何度も何度も見直した。

多香子を失いたくはない。
でも、このまま手術をして女性としての希望を絶って・・・多香子は幸せか・・・?


そんなことを考えながら渉は眠れないまま院長室に資料を広げて読み漁り朝を迎えた。
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