たとえ君が・・・
若葉はおとなしい性格で少し背中を押してやらないと自分の想いを相手に伝えられないようなところがあった。その若葉が自分から話しだした”別れ”はそれだけ彼女を自分が追い詰めてしまっていたのだと実感させた。

そんなことを考えながら良助は屋上からの景色を見ていた。

若葉と離れてから、景色がまるで変って見えた。

当たり前が当たり前じゃなったことを実感しながら、むなしさと後悔に行き場のない気持ちを、たばこの煙にしてどこかへ飛ばしたい、そんなことを考えていた。

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