たとえ君が・・・
良助は再びリビングへ戻り印鑑をポケットに入れる。

その時、リビングに自分と同じキーケースを見つけた。
若葉もまだ同じキーケースを使ってくれているとわかっただけでやけに安心する。

良助はキッチンにためっていた洗い物をして、おかゆを作り、もう一度寝室の扉の前に立った。
「おかゆ、作ったからたべれらた食べろよ?」
「・・・うん・・・」

後ろ髪をひかれるとはこういうことだ。

良助は気持ちを飲み込んで家を出た。

おそろいのキーケースからカギを出して外からカギを閉める。
そしてキーケースを握りしめて唇をかみしめた。
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