たとえ君が・・・
妙な胸騒ぎがする。

どうしてもあの日若葉を置いてきたことが気になる。

屋上でたばこに火をつけながら良助はやるせない気持ちをどうしようかと思っていた。

ポケットからキーケースを出してギュッと握りしめる。



そしてたばこがすべて灰になると携帯電話を出して若葉に連絡をしていた。
電話に出なければそれまでだ。電話に出て元気な声を聞ければそれでいい。

若葉が元気だったらそれでいい。

そんなことを考えながら呼び出し音に耳を傾けた。
やけに緊張してしまう自分にふっと笑いすら漏れる。

あぁ。まだ若葉のことが相当好きだ。俺。
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