たとえ君が・・・
多香子は呼吸が少し落ち着くと、そのぬくもりから離れようとした。

でも、強く抱きしめられていてはなれられない。

まだ、その力に逆らうほど体は回復していなくて多香子は再び力を抜いた。

それでもすべてを包み込むぬくもりに、多香子はずっとその中にいたいと思ってしまいそうな気持をしまい込んだ。








多香子をただ抱きしめながら、渉はこのまま自分の中に多香子を吸収できたらいいのにと思った。そうすれば多香子の悲しみも苦しみも自分のものにできるのに。
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